【FC】ダウンタウン熱血物語

グランド・セフト・オート3(以下GTA3)が神奈川県で有害図書指定を受けたというニュースが報じられた。青少年の暴力性を助長する、とのことだ。その問題については後に語るとして、ここでは元祖・暴力ゲームと言えるかもしれないソフトを紹介しよう。それが、「くにおくん」シリーズだ。

主にファミコンでリリースされていたこのシリーズ。やってることが半端じゃない。1作目ではそれが特に顕著。棒を持って殴る、羽交い絞めにする程度ならまだ良いほう。集団リンチは当たり前。バイクに乗った不良が襲ってきたり、挙句の果てにはラスボスは拳銃を持って襲い掛かってくる。しかもそれが何故か高校生という設定だ。以降の作品ではそこまで強烈な表現は無いにしても、やはり鎖を持って殴るとか鉄の棒で殴るとかゴミ箱をぶん投げるとかは当たり前の世界。

何故かスポーツ系の作品も多く発売されたが、ハードル走をすればハードルを叩き折って対戦相手にぶん投げる。水泳では窒息するまで足を引っ張り合う。アイスホッケーをすれば勿論スティックで相手をぶん殴る。サッカーをすれば時には人間同士の蹴りあいになる。ドッチボールなら相手の魂が飛ぶまで投げ続ける。それを見て笑顔でバンザイ。正味な話何でもアリだ。

……と、ここまで読んだら、先の神奈川県知事さんなら声を張って「青少年へ与える影響が!規制すべkzdklづあえsrわんds」とか叫んでくれそうな内容である。だけどこのシリーズ、こんな内容だが今でも根強い人気を誇っていて、オークションでは普通に2000円を超える価格で落札されていたりする。週刊ファミ通がファミコン20周年を記念して行ったソフト人気調査では、シリーズの作品がTOP100に何本も出てくる人気ぶり。

ただ単純に暴力的な表現を求める人がわざわざファミコンのソフトに2000円も出すワケが無いし、今どきの子供がファミコンソフトで遊んでいるって言うのはまず無いだろう。すると、この作品はかつて少年だった大人たちに今も親しまれている、ということになる。ということは、「くにおくん」は単純に暴力的な表現とは違った魅力、もっと言えば「楽しさ」があるはずなのだ。

私がこのシリーズで最も印象に残っているのが「ダウンタウン熱血物語」。初めてプレイしたくにおくん作品というのもあるが、正味な話何回クリアしたか数えられないくらいプレイしている。それも5~8歳くらいの時だった。何より、パンチやキックの効果音が気持ちよかった。敵キャラを殴ると「バコ!バコ!」という何とも言えない効果音とともに、敵キャラは苦悶の表情を浮かべる。倒れた敵は「ビューン」というまた小気味良い効果音とともに、コミカルな捨て台詞を吐いて、お金を落として消えていく。そのお金がまた気持ちのいい効果音。「チャリン!チャリン!」といい音を出して跳ね、それを取ると「チャコン!」とやはり小気味良い音。この繰り返しだけでも十分に楽しかった。

このゲームはこのころとしてはありえないくらい自由度が高いのが魅力の一つだ。2人プレイをしたなら、味方同士で殴りあうことも当然のごとく可能。私が弟とこのゲームをプレイしていたとき、ボスと戦っている最中に少し攻撃が味方に当たっただけで、もうボスそっちのけで味方同士で殴りあいなんかが日常茶飯事だった。川の岸で一人が角棒、一人がメリケンサックを投げて野球ごっこをしてみたり。もちろん、バッターが空振って自分にメリケンサックが当たろうものなら、角棒を投げて乱闘開始。どちらかが倒れるまで殴り続ける。勿論それだけじゃなくて、お金を集めてキャラを最強まで育ててみたり、難しさを上げて強い敵と戦ってみたりと、ともかく色々な楽しみ方を自分たちで見つけられるゲームだった。子供の遊び道具としてはこれ以上ない楽しさだった。

これは私の体験談だが、昔の子供が「仮面ライダーごっこ」をするみたいに、私もこのゲームを真似て「マッハパンチ!」とか言って当たりもしないパンチを従兄弟に放った記憶が妙に焼きついている。多分そのときの私にとってゲームの中の「くにおくん」はヒーローだったんだろう。その意味では、確かにこのゲームは私の暴力性を助長したのかもしれない。だけど、確かに私はこのゲームで遊んで相当楽しかった記憶は今も焼きついているし、正直な話今プレイしても最新ゲーム機のソフトにも負けないくらい楽しい作品だと思っている。今でもたまに弟と2人でプレイして、まさに子供のころと同じ「殴り合い」をすることもある。

こんな風に自分で振り返ってみても、このゲームが私に与えた影響は少なからずあるな~、と思う。だけど、その影響がどんなものだったかなんて、実際には分からないってのが普通だと思う。先のGTA3の有害図書指定問題にせよ、メディアが人に与える影響なんかそんなに簡単に決め付けていいものじゃないはずだ。ゲーム擁護派からは「科学的な根拠」を求めているケースが多いけど、それを証明することほど難しいことは無いんじゃないだろうか。いくら統計を取ってみても、青少年犯罪を実際に起こしてしまうほどの特別なケースはそこから洩れている場合が多いはずだし。

でもだからこそ、(規制すること自体への反論はここでは置いておいて)メディアの規制とは際にはそれがプレイされている環境やゲーム内容などを総合的に判断して、まさに影響を受けやすい青少年の立場に立って入念な審査の上に成り立つべきものではないか(その意味では現在のCEROもその域に達しているとは言いがたいが)。単純に科学的根拠のみに固執したり(それが「ゲーム脳」のようなトンデモ理論なら尚更)、ましてや暴力的な表現=悪影響、などという短絡的な結論付けはあまりにも無意味だ。今回の有害図書指定に至っては、ビデオ審査10分、その後の討論も合わせて1時間という審査方法だそうだ。これでは真の意味で青少年への影響を考えているとはお世辞にも言えない。

「ダウンタウン熱血物語」とGTA3を比べると残虐性は遥かにGTA3のほうが上だ。それも全く比較にならないくらいに。だけど、そういう表現の多少に関わらずやっぱり人はメディアからは何らかの影響は受けている。それを悪影響だけだと短絡的に考えずにプレイすれば、新しい「楽しさ」に出会えることもあるはずだ。その機会を無理やりな規制で奪ってしまうのは如何なものか。

今回の有害図書指定の問題を議論していると、私はいつも「くにおくん」を思い出す。

[ 2005/7/26 20:28 | ゲームのおもいで | comment(0) | trackback(0) ]

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